令和3年11月13日 つまらない奴 他人への敬意 |
イギリス人が日本に来て、大衆的な食堂に入ってみて驚いたと言う。 何を驚いたかと言うと、 スーツを着たビジネスマンと作業着を着た労働者が混在している事に驚いた、というのだ。 ヨーロッパは非常に階級社会で、 ホワイトカラーとブルーカラーが混在する事が少ないというのだ。 日本にも身分というものが有ったけれど、それでも同じ人間という感覚が有る様だ。 万葉集には天皇や貴族の歌だけでなく、前線の兵士や売春婦の歌まで一緒に掲載されている。 これは世界的に見ても驚くべき事だろう。 殿様が道を通った時に、畑で働いている老婆を見て、 ばあさん、良く働くな、と労わって褒美を与えたというような話はたくさん残っている。 また、日本では技術を持っている職人に対する敬意が有る。 士農工商というくらいで、ビジネスマンよりも職人のほうが上なのだ。 さて、現代の日本ではそういう感覚は残っているのだろうか。 普段スーツを着て仕事をしている人たちは、 作業服を着て仕事をしている人たちに敬意を持っているだろうか。 自分は若い頃に随分たくさんブルーカラーの仕事をしていたので良く解るのだが、 あの人たちの持っている実力というのは、かなり高いものが有る。 明るくて積極的な人間力、そして、現場力とでも表現したら良いだろうか、 机上の空論ではなく、実際にやったらどうなるか事前に解る理解力を持っている。 スーツを着ているその辺のサラリーマンよりも、遥かに格上の人間だと思う。 なので官僚が立てた方針、計画がうまくいかないのは現場感覚が無いからだと思う事が良く有る。 一口に作業着を着て仕事をする人といっても、 技術者から土工までかなり幅が有るのだけれど、 どの階層の人であっても、「現場力」は一様に持っている様に思う。 以前、小さな会社を経営していた時に、用事で銀行に行く時のこと。 どこかに出かけたついでに銀行に寄った時にはスーツを着ている、 また、ちょっと銀行に行ってくんべ、という時はTシャツにサンダル履きという時も有る。 その時に感じたのだけれど、スーツの時とTシャツの時では、 明らかに、あからさまに、はっきりと対応が違うのだ。 なるほどー、こんなに違うんだなあと感心した事が有る。 自分は今、もう引退して、年金を貰いながらアルバイトをして生活している。 早朝、オフィスビルの清掃のアルバイトをしている。 掃除をしている時に、社員たちが出社してきて近くを通る時に、 多くの人が「おはようございます」と挨拶をしてくれる。 スーツ姿が作業服姿に「おはようございます」と挨拶をするのだ。 もちろん、こちらからも挨拶を返す。 挨拶をしてくれない人も居るが、それは年齢別でもなく、地位別でもなく、 なんだろうと思って観察しているのだけれど、 まあ性格の問題か、その時の気分の問題か何かなんでしょう。 今は全然酒を飲まないのだけれど、昔、良く飲みに行っていた時、 小さなスナックのカウンターに座ると、飲み物を注文する。 その時に、「マスターも飲んで」と言うのが当たり前の様な感覚が有った。 なんというか、客として、小さな店の売り上げに協力しないといけないな、 という様な感覚が有るのだった。 なので、自分が5杯飲めば、10杯分のお金を払う事になるのだけれど、 それが当たり前の様な感じだった。 最近はどうなっているんでしょう。 バブルがはじけて以降はそういう文化もすたれてしまったのでしょうか。 小遣いキツいものねぇ、仕方が無いのかな、、、。 最近、政治関連の記事を読んでいて、 「店員に威張り散らす様なつまらない奴」という表現で批判している文章を読んだ。 まったくもって、店員に威張り散らすというのは、本当につまらない奴だとつくづく思う。 金持ちだろうが貧乏人だろうが、同じ平民だ。 みんな働いて生計を立てているのだ。 なんで自分のほうが偉いと思ってしまうのか、それはやっぱりつまらない奴だからではないだろうか。 日本では昔から、客が店員に「どうもすいません」だの「ありがとうございます」だのと言う場面はとても良く見る。 これは正しい事だと思う。 他人に敬意を持つ日本の文化は、これからも守っていきたいものだと思う。 お金を払うのは客で、俺は客だから店では何をしても良いと思っているかの様なニュースを見る事も有る。 どうか、みなさん、これからも、つまらない奴にならない様にやっていきましょう。 寒いのに大変でごわすね 心の余裕 叱られてムっとする だいじょぶだぁ ビョーキな人々 |
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