かわいひでとし日記
令和3年7月18日      コロンボと寅さん      知的な観劇
 

映画やドラマを見る時、それでどうなるの? それで? それから?

とストーリーを追って見て、最後に大どんでん返しが有ると有り難がる、

という観劇をしている人、

それはそれで、エンタメなのですから良いのですが、

たまには味わって観るという事も経験してはどうでしょう。

例えばクラッシック音楽を聴く人は何度も何度も同じ曲を聴いています。

古典の芝居を観る人も、何度も何度も観てセリフまで暗記してしまっています。

なぜでしょう。それは味わうからではないでしょうか。




NHKBSで再放送されている「刑事コロンボ」が録画されていて、

なんだかついつい観てしまう。



まずは殺人のシーンが有り、犯人が証拠を隠滅する。

そしてコロンボがやってきて、緻密な推理で犯人を追い込んでいく、

という毎回同じパターン。

最初から犯人は分かっているし、どのように証拠を隠滅したのかもわかっているし、

最後はコロンボが逮捕するのも分かっているのに、なぜ最後まで観てしまうのだろう、

と思いながら毎回観ている。

「刑事コロンボ」シリーズは全45作品、1968年から1978年まで放送された。

ピーター・フォークさんが主演の刑事ドラマ。

初期の作品と後期の作品を見ると、後期ではピーター・フォークさんも年齢を重ねていて、
白髪も多くなっている。

そんな姿を見ると、やっぱり渥美清さんを思い浮かべる。

「男はつらいよ」の寅さんシリーズも、毎回同じパターンで、全49作品を全て渥美清さんが主演を務めている。

寅さんが半年ぶりに「とらや」に帰ってきて、そして喧嘩になって、

恋をしてフラれてまた旅に出ていく、という毎回同じパターン。

寅さんも、初期の作品と後期の作品では、渥美さんが年齢を重ねていて、最後の方はもう痛々しいくらい。

晩年は病気に耐えながらの撮影だった様だ。

自分は実は、寅さんは全作品を少なくとも2回ずつ、

多いものだと10回以上見ているという熱烈な寅さんファンです。

寅さんは毎回同じパターンで、見ていてこの先どうなるのかは分かって見ている。

意外性は殆ど無い。

要するに、ストーリーなどどうでも良く、渥美清さんの演技を、

また脇役やゲスト俳優の演技を味わう為の映画だと言っても過言ではない。

そして毎回登場するおいちゃん、おばちゃん、さくらさん、博さん、源ちゃん、

などの登場人物もいつも通りのふるまいをするのだ。

毎回観ていると、いつしか、彼らがまるで実在の人物の様に思えてくる。

「刑事コロンボ」も同様で、ピーター・フォークさんの演技を味わうドラマなのかもしれないし、

同時に犯人役で登場するゲスト出演者の演技を味わうドラマなのだろうと思う。

この、演技を楽しむために観る ストーリーなどどうでも良い、というのは、

実は歌舞伎と共通する。

歌舞伎は古典を何度も上演していて、ファンはセリフを暗記してしまうほど何度も観ているにも関わらず、

何度見ても毎回味わって楽しめるという事なのだ。

ストーリーを追って見る観劇とは全く違うものだ。

味わって観る事が出来るのは、「抽象」というものを理解できる人なのだ。

演技を味わう、あるいは、抽象的な演技をしてそれを見る側が慮る、というのは、

ストーリーだけを追って見るのとは違う、ちょっと知的で高級な見方だろうと思う。

ファスト映画なんてものが(これは違法です)流行ってしまうということは、

人間がバカになっている証拠なのではないでしょうか。

いつもストーリーを追うだけの見方をしている人は、

たまにはじっくり味わって観る映画をたまには見て、感じて、考えて、慮ってみてはどうでしょう。

ところで「刑事コロンボ」は、古いドラマで、とにかく所かまわず葉巻を吸って、

喫煙マナーなど何処にも無く、見ているこっちが冷や冷やしてしまうほど。

でもねぇ、昔はこうだったのですよ。

会社で仕事しながらタバコを吸う、病院の待合室だろうがどこだろうが平気でタバコを吸っていたのです。

それが当たり前だった時代の人が今でもついつい喫煙マナーを守らない事が有っても、

その人にとっては当たり前だった時期が長いからなのだろうと、

ちょっとは慮ってあげるのも上等な人間なんじゃないでしょうか。


刑事コロンボ ベスト20
https://torasantei.com/columbo-best20/





カワイが選ぶ寅さんベスト

1位 第15作 寅次郎相合い傘
   この作品は、初心者が見るのは10年早い(笑)
   何作も観てから観て欲しい最高傑作 名場面が目白押し

2位 第17作 寅次郎夕焼け小焼け
   この作品は初めて寅さんシリーズを見る人におすすめしたい
   割とストーリーがはっきりしていて、初めての人でも楽しめる

3位 第39作 寅次郎物語 
   
   寅さんが一番充実していたのは中期の作品 10~30作くらいです。
   その時期の作品はどれもこれも、みんな傑作ですので、順位はつけがたい。

   第1作から順番通りに観る必要は全くありませんが、どの時期の作品なのかはちょっと意識しながら観てくださいね
   初期 1~10
   中期 10~30
   後期 30~49



鰻と酒で600円か

学力が有っても教養の無い人々

歌舞伎は江戸時代のテレビだった


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