令和元年12月2日. 海外公演
男子新体操と歌舞伎
昔、歌舞伎が海外公演をする時は、外国人にウケそうな演目をやるものだった。
様式美を見せる華やかな「時代物」をやるのが常道だった。
ところが、18代目中村勘三郎さんがアメリカ公演をすることになった時、
松竹の会長に「夏祭浪花鑑」をやりたいと言ったのだった。
これは「世話物」というジャンルの人間ドラマで、様式美とはかけ離れている。
ダメだよ、そんなのやっちゃあ、汚らしいじゃないか、と会長は言ったが、
勘三郎さんは、どうしてもやりたい、失敗したら腹切ります、と言ったとか。
そのニューヨーク公演は大成功となり、アメリカの批評家からも大絶賛を受けたのだった。
自分もそのニューヨーク公演のビデオを何回も見て感激したものだった。
その後、ヨーロッパでも何度か公演を行っている。
外国人にウケそうなものをやる、という考えは浅はかだった。
良いものは良いと思ってくれるのだ、と、強く思ったものだった。
もちろん、日本文化を良く知らない外国人は、日本人とちょっと違う所を見るようなところは有るけれど、
普遍的なものはちゃんと見てくれるのだ。
このページに勘三郎さんのコラムが載っています。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/2007/html/h3/h3_63.html
男子新体操の海外公演の動画を見ていると、それと似たことを思う。
客席が沸くのはタンブリングの所だけだったりする事も有る。
美しい徒手には興味無いんじゃないだろうか、なんて思ったりもする。
だから男子新体操が国際化したら、ルールが変わってアクロバットばかりになるのではないか、と思ったりもした。
海外公演をするなら様式美を見せられる団体演技が良いのだろうと思っていた。
そんな中で、今年の国士館のドイツ公演の動画、田中啓介選手のスティック演技を見ながら、
解る人はわかってくれるんだろうなあとしみじみ思いました。
見てもあまり良く分からない人もいるし、良く見ないで「男が新体操?気持ち悪い」とか言う人も居るのだけれど、
彼の演技を見て「美しい」と思った人がたくさんいたのだろうな、と思いました。
今でも国士舘の集団演技では最高傑作ではないかと思う、2015年の演技
様式美とリズム感
国際化すると、、、、
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