![]() |
令和7年3月18日 べらぼうに面白い 2025年大河ドラマ |
大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」が面白い。 ただ、見ていて、あまり詳しくない人には難しいのではないか、 と心配にもなる。 徳川家康だの織田信長だのの有名人と違って、江戸市中の町人たちの話だからだ。 自分は幸いな事に歌舞伎が大好きでしょっちゅう観に行っていたので、 吉原の話などは色々と見てきたので、なんだか懐かしい気持ちで見ている。 吉原の登場人物は花魁(おいらん)と茶屋の主人たちだ。 花魁というのは要するに娼婦なのだが、超高級な娼婦も居て、 お客が花魁に気を使わなくてはならないほど高級な人も居る。 そして、茶屋というのは、引手茶屋と言って、吉原に来た客を 花魁の居る店に案内する店の事だ。 だいたいこの茶屋を通さないと遊郭には入れなかったりする。 花魁たちはだいたい地方などから売られて来た若い女性たちで、 吉原で人気になって出世して、大物になって超大金持ちに身請けされるのが出世コースだ。 花魁と言えば、「〇〇でありんす」という様な話し方をするものだが、 この花魁言葉は廓詞(くるわことば)とも呼ばれる独特な話し方だ。 遊女は色々な地方から来ていて、地方の訛りなどでお客が言葉を聞き取れなかったり するのを防ぐ為に、そういう話し方をする様になったのだと言う。 ~ありんす ~ざんす ~え など、映画やドラマで聞いた事が有ると思う。 こういう独特の言葉は、武士たちにも有る。 例えば薩摩藩の人と会津藩の人が江戸で会って話しても、 訛りがきつくて何を言っているのかさっぱり解らない、 なんて事が有るので、能や狂言などで使う言葉を標準語の様に使ったのだそうだ。 ~ござる という様な話し方のサムライ言葉だ。 また、ドラマには版元(出版社)の主人たちも出て来る。 江戸時代の商売はだいたい、「株仲間」の様な組合を作っていて、 よそ者が入り込めない独占的な商売をしていた。 なので、蔦谷重三郎が本を出版したくてもなかなか出来ない、 という事もドラマで描かれている。 さらに江戸の人達の最大の特徴は世界的にも非常に珍しいものだ。 それは、一般庶民であっても読み書きができ、本を買って読んだり、 芝居を見に行ったりしていたという、同時代の世界を見渡しても 類まれなる凄い人達だった。 経済も発達し、色々な商店が物やサービスを売って、 それを町人たちが買って楽しんでいる、という、凄い時代だった。 同時代のヨーロッパの一般庶民なら、多くが文字の読み書きも出来ない時代なのだ。 そして、庶民が見る芝居も非常に人気が有った。 江戸時代の歌舞伎は現代のテレビと同じだ。 スターが出て、流行を取り入れ、人気作家が物語を書き、 今でいうタイアップの様なCM入りの芝居も有った。 役者はスターであり、「千両役者」というスーパースターも生まれた。 役者の着ている着物が流行したり、役者の絵が飛ぶように売れたり、 本当に豊かな時代だったと思う。 そんな生き生きとした江戸の町を描いているドラマなのだが、 江戸時代の色々な事情が良く解らないとドラマが難しく感じるかもしれないが、 難しい事はほうっておいて、主人公を中心に見ていれば良いのだろうと思う。 さて、第10回「『青楼美人』の見る夢は」は本当に神回だった。 テレビをあれほどのめり込んで見てしまった事に自分で驚いた。 花魁と恋仲になって、二人で吉原から足抜け(脱出)を企む話だ。 そして幼馴染の花魁、瀬川と蔦谷重三郎の愛情も描かれ、 足抜けをしようと考える事が描かれた。 けれど吉原の掟は厳しい。簡単に足抜けなど出来はしないのだ。 とても切ない、素晴らしいドラマだった。 今まで見ていて、演技に感心してしまった役者さんが何人も居た。 松葉屋さんの旦那と奥さん(正名僕蔵 水野美紀)、花魁瀬川(小芝風花)など、 大河ドラマの素晴らしい所は、素晴らしい名演技を見られるところだ。 それもだいたい、脇役の名演技が光るのだ。 ぜひぜひ、江戸時代の生き生きとした町人たちをドラマを通じて見て欲しいと思う。 ![]() 江戸時代すげぇなぁ こんな国は他に無い 日本のエンタメの底力 歌舞伎、松竹、東宝 エンタメとは 日本の凄さ |
コメントなどはツイッターやメールでお願いします
ツイート |